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投擲(Throws)測定ガイド:現場で上半身のパワーをすぐに測る

  • 7月3日
  • 読了時間: 9分

下半身のパワーはジャンプで測れますが、上半身はどう測ればいいのでしょうか。ボールを投げ、スパイクを打ち、パンチを繰り出す力は試合で決定的なのに、目で見るだけでは感覚に頼ることになります。「今日は少しボールが伸びないな」くらいにしか感じられず、それがコンディションのせいなのか、実際にパワーが落ちているのか区別しづらいものです。

投擲測定は、この上半身のパワーを数値として残す方法です。メディシンボールを全力で投げたり叩きつけたりすると、その瞬間に体が生み出した推進速度とパワーがそのまま値として出ます。このガイドでは、投擲を測るとどんな値が出て、それをどう読むのか、そして現場で信頼できるデータを得るために何を押さえるべきかまで扱います。

投擲を測るとどんな値が出るのか

PoinT GOで投擲を一度測定すると、以下の値を受け取ります。一度の投げ動作から複数の角度を同時に見ます。

何を見るか

最高推進速度(m/s)

投げる・叩きつける瞬間に体が生み出した最高速度。上半身のパワーを代表する指標です

最高加速度(m/s²)

どれだけ速く速度を引き上げたか。瞬間的な放出能力を見ます

最大パワー(W)

重さを入力すると出る値。上半身が瞬間的に発揮した出力です

最大力(N)

重さを入力すると出る値。下で説明するように推定値です

動作時間(s)

一度の投げ・叩きつけにかかった時間

レップ別の最高・平均

連続で複数回測ると、回ごとの記録と代表値を合わせて見ます

パワーと力は重さを入力してはじめて出ます。重さを入れなければ速度・加速度だけが出て、入れればその重さを反映してパワー・力まで算出されます。

ここで一つ押さえておきたいことがあります。力(N)はフォースプレートのように地面反力を直接測るのではなく、加速度に重さを掛けて推定した値です。ですから投擲測定が最も正確に示すのは「どれだけ速く投げたか」、つまり推進速度です。パワー・力は重さを反映した推定値なので、絶対値そのものよりも同じ選手の推移や選手同士の相対比較に使うのが向いています。

PoinT GOは9軸IMUウェアラブルセンサーで投げ動作の瞬間を捉え、独自に最適化したアルゴリズムがこれらの値を自動で算出します。どんな信号でどう計算するかはPoinT GOが処理するので、コーチは出てきた数値を現場で使うことだけに集中できます。

投擲動作の種類:スラム・投げ・エクステンション

同じ「投擲」でも、どう投げるかによって使う筋肉と現れる能力が変わります。PoinT GOは三つの種類を選んで測定します。

  • スラム(SLAM):メディシンボールを頭上に持ち上げてから床へ垂直に叩きつけます。広背筋・コアを含む上半身全体の放出能力を見ます。最もよく使う基本動作です。

  • 投げ(THROW):胸の前から押し出したり、横に回旋しながら投げたりします。チェストパスやサイドスローのように水平・側方へ投げる動作です。実際の送球や打撃により近い方向のパワーを見ます。

  • エクステンション(EXTENSION):頭上へプレスするように伸ばして投げます。肩の上方へ伸ばす放出能力を見ます。

競技動作に近い種類を選べばよいです。基準線を取るだけならスラム一つで始めても十分ですし、送球・打撃が重要な競技なら投げを加える、という具合です。

PoinT GOで投擲を測定する

現場で投擲を測る流れはシンプルです。アプリ(connect)でもウェブ(coach-web)でも順序は同じです。

  1. センサー装着:15gのPoinT GOセンサーを手首ストラップで手首に着けます。メディシンボールには付けません。ぶれないようにしっかり固定することが測定精度に重要です。

  1. 動作の種類を選択:スラム・投げ・エクステンションから今日測るものを選びます。次に測定モード(単発/連続)を決め、重さを入力すればパワー・力まで出ます。

  1. 準備:「準備」を押すと、短いカウントダウンの間、センサーを持ったままじっとします。この静止姿勢でセンサーが基準を取ります。

  1. 測定:合図に合わせて最大努力で投げるか叩きつけます。動作が自動で捉えられ、投げた瞬間に推進速度と加速度が画面に出ます。単発モードは一度で終わり、連続モードは複数回繰り返して回ごとに記録が積み上がります。

  1. 保存:結果を確認して保存すると、選手の記録に残ります。

いい加減な試技やあいまいなぶれは、PoinT GOが自動で振り分けます。最大努力でない弱い動作は有効なレップとして認めないので、コーチが「これはやり直し」といちいち判断しなくても済みます。

connectアプリで測れば、現場でスマホ一つですぐに測定でき、複数の選手を順に回して測るときに便利です。

結果の読み方

測定した値を読み解くことが本番です。いくつか覚えておけば十分です。

推進速度を代表指標として見ます。 投擲測定で最も信頼できる値は推進速度です。重さの入力なしでも出て、「どれだけ速く投げたか」を正確に示します。上半身のパワーの基準線を取るときは、まずこの値を見てください。

複数回の代表値を見ます。 人間なので投げるたびに少しずつ変わります。連続で複数回測って最高記録と平均を合わせて見れば、その日の実力をより安定して捉えられます。一度の値に振り回されず、うまく出た試技を基準にしてください。

パワー・力は推移で見ます。 重さを入力すると出るパワー・力は、重さを反映した推定値です。ですから絶対値一つに意味を置くより、同じ選手が同じ重さで測った値が時間とともに上がるかを見るのが核心です。重さを変えれば値も変わるので、推移を見るときは条件を同じに保ってください。

連続測定では後半の回を見ます。 連続で投げると、回が進むにつれて速度が維持されるか落ちるかが見えます。コンディションの良い日は後半の回でも速度がよく持ちこたえ、疲労がたまった日は後ろへ行くほど目に見えて落ち込みます。こういうときは睡眠や練習量をコーチが一緒に見てあげるとよいです。

絶対値よりその選手の変化を見ます。 選手ごとに体格や競技が違うので、絶対値を互いに比較するのは慎重にすべきです。投擲測定の本当の力は同じ選手の流れにあります。数週間にわたって推進速度が上がれば練習が効いているということで、停滞したり落ちたりすれば回復やプログラムを見直す合図かもしれません。

信頼できるデータを得るには

測定値がぶれると解釈もぶれます。現場でこれだけ押さえてもデータはずっと安定します。

  • ウォームアップ後に測ります。 体がほぐれていない状態で最大に投げると記録も低く出て、肩を痛めるリスクも大きくなります。軽く体を温めてから測定してください。

  • 同じ条件で測ります。 同じ重さのメディシンボール、同じ動作の種類で測ってこそ比較に意味があります。重さや種類を変えると値が変わり、推移が読みづらくなります。

  • 最大努力で投げます。 いい加減な動作は有効なレップとして捉えられません。毎回最大で投げるか叩きつけてこそ、本当の能力が値に反映されます。

  • 重さを正確に入力します。 パワー・力は入力した重さを反映して推定するので、重さが間違っていると値もずれます。パワーを追うなら毎回同じ重さで測り、その値を正確に入れてください。

  • 3〜5回が適当です。 一、二回では最高記録を逃すことがあり、多すぎると疲労がたまります。試技の間は十分に休みながら測ってください。

どんな競技で使うか

投擲測定は、上半身・全身の爆発的な放出能力が競技力を分ける競技で特に役立ちます。ジャンプ測定が下半身を見るなら、投擲測定はジャンプでは捉えにくい上半身のパワーを数値化します。

  • 投げる・打つ競技:野球の投手・打者、バレーのスパイク、テニスのサーブ、ハンドボールの送球、格闘技のパンチのように上半身を爆発的に使う動作の基準線を取るのに向いています。

  • 陸上投擲:砲丸・円盤・やり投げのように放出速度がそのまま記録になる競技で、上半身・全身のパワーを追います。

  • 回旋が重要な動作は一緒に見ます:野球の投球やハンドボールの送球のように、下半身から体幹、腕へとつながる回旋シーケンスが球速を左右する動作は、放出を見る投擲測定と回旋出力を見る回旋(Rotation)測定を一緒に使うと絵がより鮮明になります。肩の可動域が気になるなら、ROM(可動性)測定を補助的に加えることもあります。

チーム単位で管理する

一人を測ることとチーム全体を管理することは別の仕事です。ここでcoach-web(ウェブダッシュボード)が力を発揮します。

  • 選手別の推移:個々の選手の投擲記録を時系列で並べて見て、基準線に対してどれだけ上がったか下がったかを追います。

  • チームランキング・ベスト記録:投擲を含む種目別の最高記録を一目に集めて見ます。選手同士の比較や目標設定に使えます。

  • プログラム割り当て:投擲が入った測定・練習プログラムを作って選手に割り当て、定期測定のルーティンとして回せます。

現場でアプリで測り、そのデータがcoach-webにチーム単位で整理される流れです。アプリとウェブが同じアルゴリズムを共有するので、どこで測っても同じ動作に同じ結果が出ます。

アプリとウェブ、どちらで測るか

どちらも測定と分析を両方こなします。違いは能力ではなく状況です。

  • 現場・移動中ならconnectアプリ:スマホさえあればすぐに測れて、複数の選手を順に回して測定するのに向いています。ジム・競技場で広く使われる道具です。

  • チームを体系的に管理するならcoach-web:デスクトップでチーム・権限・プログラムを整理し、たまったデータを比較・分析する場所です。ウェブでもセンサーを接続してライブで測れます(デスクトップのChrome・Edge)。

ふつうはアプリで現場で測り、ウェブでまとめて見る組み合わせが自然です。

よくある質問

Q. センサーはメディシンボールに付けますか?

いいえ。センサーは手首ストラップで手首に着けます。投げる体の動きを測るので、ボールではなく体に付ける必要があります。投げるときにストラップが緩いと値がぶれるので、しっかり固定してください。

Q. パワーと力の値が出ません。

重さを入力してはじめてパワー(W)と力(N)が出ます。重さを入れなければ推進速度と加速度だけが出ます。また力はフォースプレートのように直接測った値ではなく、加速度に重さを掛けた推定値なので、絶対値より同じ条件での推移で見るのがよいです。

Q. スラム・投げ・エクステンションのどれを測りますか?

競技動作に近いものを選べばよいです。上半身のパワーの基準線を取るだけならスラム一つで始めても十分ですし、送球や打撃のように水平・側方へ投げる動作が重要なら投げを、頭上へ伸ばす動作が重要ならエクステンションを加えてください。推移を見るときは毎回同じ種類で測ることが重要です。

Q. ジャンプ測定と何が違いますか?

見る部位が違います。ジャンプ測定は下半身のパワーを、投擲測定は上半身・全身の放出能力を見ます。上半身のパワーはジャンプでは捉えにくいので、投げる・打つ競技なら投擲測定で別に押さえるのがよいです。両方を一緒に測れば、選手の上半身・下半身のパワーをバランスよく見られます。

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