1RM推定測定ガイド:最大重量を持たずに最大筋力を測る方法(LVP)
- 7 日前
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1RM(最大1回重量)は筋力プログラムの基準点です。強度を「1RMの80%」のように決めるからです。ところが肝心のその1RMを正確に知るのが難しいのです。本当の最大重量を持ち上げるには怪我のリスクを覚悟しなければならず、一度行うと数日は回復に充てる必要があるので、シーズン中は頻繁にはできません。そのため数ヶ月前に測った1RMを基準に訓練を続けることが多いのです。
負荷-速度プロファイル(LVP)はこの問題を別の形で解決します。重い最大挑戦の代わりに、軽い重量数セットの速度だけを測って最大筋力を推定します。このガイドでは、LVPでどんな値が出て、PoinT GOで現場からどう測り、その値をチーム訓練にどう使うのかを扱います。
重量を上げると速度が落ちる
同じ人が同じ種目を行っても、重量が重くなるほどバーベルは遅くなります。軽ければ速く挙がり、1RMに近づくとやっと挙がります。この「重量 ↔ 速度」の関係が人ごとにほぼ一定の直線を描くというのは、スポーツ科学で古くから整理されてきた内容です。
ここにアイデアがあります。重い重量を実際に持ち上げなくても、軽い・中程度の重量いくつかで速度を測ればその直線を描くことができ、直線をそのまま延長して「この速度まで遅くなる重量」を見つければ、それが推定1RMです。1RMに近づくほどバーベルは非常に遅くなりますが、種目ごとに1RMで現れる最低速度がおおむね決まっています。PoinT GOは選んだ種目に合った基準を適用し、直線をその地点まで延長した値を推定1RMとします。
LVPを測るとどんな値が出るか
バーベルにセンサーを付けて重量を変えながら数セット行うと、以下の値が出ます。
値 | 何を見るか |
推定1RM (kg) | 最大重量を持たずに得た予想最大筋力。プログラム強度の基準になります |
負荷-速度プロファイル(LVP) | 重量ごとに速度がどう落ちるかを描いた直線 |
回帰信頼度(R²) | 測定した点が直線にどれだけよく合うか。高いほど信頼できます |
傾き(個人特性) | 重量が増えるとき速度が落ちる度合い。筋力型か速度型か傾向が見えます |
PoinT GOは9軸IMUウェアラブルセンサーでレップを自動的に検出し、独自に最適化したアルゴリズムがこの直線と推定値を自動で算出します。どんな信号でどう計算するかはPoinT GOが処理するので、コーチは出てきた数字を訓練に使うことだけに集中すればよいのです。
一つ押さえておきたいことがあります。推定1RMは文字どおり推定値です。実際の最大挑戦ではなく速度から予測した値なので、各レップをどれだけ最大で押したか、重量をどれだけ広く取ったかによって精度が変わります。後で出てくるコツを守れば、この推定はずっと安定します。
PoinT GOで1RMを測る
現場で測る流れはシンプルです。アプリ(connect)でもウェブ(coach-web)でも手順は同じです。
センサー装着:センサーをバーベルカラー(プレートスリーブ)に磁石で装着します。VBTを測るときと同じ位置です。ぐらつかないようしっかり固定するのが精度に重要です。
種目選択:ベンチプレス・スクワット・デッドリフト・オーバーヘッドプレスのようなバーベル複合種目から選びます。種目ごとに1RMで現れる最低速度が異なるので、正確に選ぶことが推定に影響します。
予想1RM入力:おおよその予想1RMを入れると、PoinT GOが軽い重量から徐々に重く3〜4段階を自動で設定します。重量を手で計算する必要はありません。
段階別測定:各段階で重量をかけ、短いカウントダウンの後1レップを最大速度で押します。リフトが検出されると自動的に終了し、次の段階に進みます。今の速度を見て次に上げる重量も提案してくれます。
LVP・結果:異なる重量が3つ以上集まると直線(LVP)を描いて推定1RMを算出し、回帰信頼度も合わせて表示します。信頼度が低いと警告が出て、測り直すよう案内します。確認後に保存すると選手の記録に残ります。
速度と重量が互いに合わない不自然なセットが出ると、PoinT GOが検知して測り直すよう案内します。別途キャリブレーションの段階はなく、測定を始めた後しばらく動きがないと自動的に終了します。connectアプリで測れば、スマホ一つで現場からすぐに測定し、結果まで確認できます。
精度は「最大速度の意図」から生まれる
LVP推定で最も多く最も致命的なミスが適当に挙げることです。軽い重量(例:予想1RMの半分)を「楽に」押すと、その重量の速度が実際の能力より低く記録されます。すると直線の傾きがずれて、1RMが実際より低く推定されます。
だから重量が軽くても重くても、すべてのレップを「このバーベルを天井に投げる」という意図で最大限速く押さなければなりません。これが正確な推定の核心です。残りの3つも押さえればデータはさらに安定します。
重量の間隔を広く取ってください。 70・75・80kgのように近い重量だけで測ると、直線の傾きを正確に捉えにくくなります。軽い側から重い側まで十分に広げてこそ直線がくっきりします。PoinT GOが自動で設定する段階に従えば、この間隔が確保されます。
セットの間に十分に休んでください。 重量段階を休まず一気に行うと、後半のセットで疲労のため速度が落ち、推定が揺らぎます。
ウォームアップの後に測ってください。 体が十分にほぐれていない状態の最初のセットは速度が低く出て、基準にしにくいです。
Daily 1RM:今日の体に合わせて重量を決める
1RMは固定された値ではありません。同じ選手でも睡眠・疲労・ストレスによって日ごとに変わります。昨日はよく挙がった重量が、今日はやけに重い日があります。だから数ヶ月前に測った1RMで今日の強度を決めると、ずれることがあります。
LVPがここで光ります。重い最大挑戦ではなく軽い重量数セットの速度だけで推定するので、負担なく頻繁に測れます。 ウォームアップがてら数段階を測ればその日の推定1RMが出て、今日の強度を今日の値を基準に決められます。
例を挙げます。プログラムに「スクワット75%」と書かれています。普段の1RMが150kgなら112.5kgでしょう。ところが今日ウォームアップの速度で測った推定1RMが140kgなら、今日の75%は105kgです。体が重い日に無理に112.5kgを押さず、今日の状態に合った重量で訓練するのです。逆にコンディションが良く推定が普段より高く出れば、少し上げてみることもできます。
核心は「計画した重量を必ず挙げなければならない」という考えから抜け出すことです。体が送るシグナルに合わせて柔軟に調整すれば、長い目で見てより安全に、より着実に筋力が伸びます。
チーム単位で筋力を管理する
一人の選手を測ることと、チーム全体の筋力を管理することは別の仕事です。ここでcoach-web(ウェブダッシュボード)が力を発揮します。
選手別の推定1RM推移:種目別の推定1RMが時間とともにどう変わったかを広げて見ます。頻繁に測っても安全なので、筋力の変化を見逃しません。
チームランキング・ベスト記録:1RMを含む種目別の最高記録を一目で集めて見ます。選手同士の比較や目標設定に使いやすいです。
プログラム割り当て:定期的な筋力測定をプログラムにして選手に割り当て、ルーティンとして回せます。
現場でアプリで測り、そのデータがcoach-webにチーム単位で整理される流れです。アプリとウェブが同じアルゴリズムを共有するので、どこで測っても同じセットに同じ推定値が出ます。
アプリとウェブ、どちらで測るか
どちらも測定と分析をすべて行います。違いは能力ではなく状況です。
現場・移動中ならconnectアプリ:スマホさえあればウェイト場ですぐ測り、複数の選手を回しながら測定するのに向いています。
チームを体系的に管理するならcoach-web:デスクトップでチーム・権限・プログラムを整理し、蓄積した筋力データを比較・分析する場所です。ウェブでもセンサーを接続してライブで測れます(デスクトップのChrome・Edge)。
ふつうはアプリで現場で測り、ウェブでまとめて見る組み合わせが自然です。
よくある質問
Q. LVP推定はどのくらい信頼できますか?
重量を多く取るほど、そして各レップを最大速度で押すほど推定が安定します。PoinT GOは直線にどれだけよく合うか(回帰信頼度)を合わせて表示し、低いと警告します。最初の数回は本人の負荷-速度の傾向が定まりながら値が安定するので、2〜3回繰り返して測ることをおすすめします。
Q. どの種目で使えますか?
ベンチプレス・スクワット・デッドリフト・オーバーヘッドプレスのようにバーベルを使う複合種目に最もよく合います。これらの種目は重量と速度の直線関係が明確なので推定が安定します。マシン種目や単関節種目(カール・エクステンションなど)はこの関係が不明瞭で、誤差が大きくなることがあります。
Q. 1RMが測るたびに少しずつ違って出ます。正常ですか?
正常です。同じ選手の1RMも睡眠・栄養・疲労によって日ごとに変わります。むしろそのためにDaily 1RMが役立ちます。固定された昔の値ではなく今日の状態を反映して強度を合わせられるからです。一度の値に一喜一憂するより、数週間にわたる推移を見るのが正解です。
Q. 初心者でもできますか?
基本動作が安定してから始めるのがよいです。動作がぶれるとレップごとの速度変動が大きく、直線がくっきり出ません。数ヶ月ウェイト経験を積んでフォームが固まり、各レップを最大速度で一貫して押せるようになれば、はるかに安定した推定が得られます。
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